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インフルエンザB型が流行しております。インフルエンザの治療薬について
院長ブログ
2024年03月09日(土)
インフルエンザB型はA型と症状は同じですが、高熱が出ないこともあり、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器症状をきたすことがやや多いとされています。
高熱が出なくても、発熱が遷延する場合はご相談ください。
タミフル 1日2回、5日間の内服薬。粉とカプセルがある。新生児から成人まで推奨。
    デメリット 粉が苦い。錠剤がない。消化器症状の副作用がある。
リレンザ  1日2回、5日間の吸入薬。 6歳以上の吸入可能な方に推奨。
    デメリット 10回吸入必要。喘息合併時には使用しない。
イナビル(単回吸入) 6歳以上の吸入可能な方に推奨。
    デメリット 吸入1回のみのため、失敗すると有効性が低い。喘息合併時には使用しない。
ゾフルーザ (単回の内服薬) 6-11歳 慎重に投与  12歳から成人 推奨
  メリット  B型にも有効性が高い。単回の内服薬。ウイルス増殖を一番抑える。
  デメリット 年齢が低いほど、変異ウイルスが出現する。変異ウイルスにより、症状が長くなり、感染もさせるとの報告と、変わらないとする報告もあり、まだ未確定。小児へのゾフルーザ処方は、日本小児科学会が推奨しておらず、変異ウイルス出現の報告もあるため、原則処方しておりません。
溶連菌感染、尿検査について
院長ブログ
2024年01月11日(木)
溶連菌が流行してきています。

溶連菌は発熱、咽頭痛、発疹などがでる疾患で、治療には抗生剤が必要不可欠です。

腎炎などの合併症が、溶連菌感染して1~3週間後にまれに出現することが知られており、抗生剤が中途半端だと腎炎のリスクとなるため、抗生剤をしっかり飲み切る必要があります。

いままで、溶連菌感染後に尿検査をルーチンでやっているところが多かったですが、最近ではルーチンでの尿検査は不要との考えが一般的になっています。
抗生剤をしっかり内服できれば、腎炎を起こす確率がかなり低く、症状が出ない腎炎もありますが、それらも自然に治るためです。
ただ、症状がでた腎炎の場合は、受診が必要になります。
コーラ色の尿がでるとか、目の周りがむくむといった場合は、受診をお願い致します。
子宮頸がんワクチンについて
院長ブログ
2023年07月18日(火)
2023年4月より新しい子宮頸がんワクチン(シルガード®9)が定期接種となりました。

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こる癌であり、若年女性に多く発症し、日本で年間1万人が罹患、年間3千人弱が亡くなられております。
HPVは性交渉により感染するため、性交渉前にワクチン接種により感染しないようにすることが大事です。
子宮頸がんワクチンのガーダシル®やサーバリックス®では、がんを起こしやすい種類のHPV感染を50-70%予防する、新しいワクチンのシルガード®9は、80-90%予防するとされ、大変効果が高いワクチンです。
先行していた欧州の国々では、ワクチン接種者の子宮頸がんが90%近く減少していることが報告されております。
ワクチンの副反応は、80%以上が接種時の疼痛など局所の反応です。コロナワクチン接種と同じく、肩に注射します。当院でも、疼痛によるめまいなどを避けるため、座ったまま接種し、15分以上何もないことを確認してから帰宅していただいております。
また、あちこちが痛む、手足に力が入らない、過呼吸などの「多様な症状」は、子宮頸がんワクチンとの関連は日本人のデータでも証明されませんでした(未接種者と頻度が変わらず)。
恐らく、起立性調節障害が起こりやすい年代でもあるため、その症状をみていた可能性もあると推察されております。
しかし、もしも多様な症状が起きた場合は、まずは接種した病院へご相談してください。接種後の症状が
予防接種によって起こることが否定できない場合も法律に基づく救済が受けられることになっております。

子宮頸がんは、子宮頸がんワクチン接種と子宮頸がん検診、その後の治療により撲滅可能な癌とされております。
小学生6年生~高校1年生の女の子は子宮頸がんワクチンの接種を、20歳以上の方は子宮頸がん検診を受けましょう
実は難しい?、喘息の診断②
院長ブログ
2023年02月21日(火)
ちなみに成人の喘息の診断基準も以下の通りです。
診断の目安として
1、 急にゼーゼーする、呼吸が苦しくなる、咳の反復
2、 吸入すると呼吸が楽になる(可逆性の気流制限)
3、 走ったり、煙や冷たい空気を吸ったりすると咳がでる(気道過敏性の亢進)
4、 痰に好酸球というアレルギーの細胞が多い、吐いた息の一酸化窒素という数値が高い(気道炎症の存在)
5、 アトピーがある
6、 他の疾患が否定されている
ここから、必要あれば呼吸機能検査やアレルギー検査等を施行し、診断となります。
ですので、なかなか1回の診察では診断は困難かと思います。
当院では、上記を元に安易に診断はせずに、治療する場合も月に1回以上咳で困る、もしくは年数回でも咳や喘息発作が酷い場合は、毎日喘息の治療をするようお勧めしております。
気になる方はお気軽にご相談ください。
実は難しい?、喘息の診断①
院長ブログ
2023年02月21日(火)
時折、この子は喘息なんでしょうか?、喘息の気があるかもしれないとよく言われるのですがと聞かれることがあります。

実は喘息はこれが陽性だから喘息ですとか、この数値を超えているから喘息ですと客観的な指標では決められておりません。

2017年以降、5歳以下を乳幼児喘息として、学童期以降とわけて、診断、治療する方針となっています。
小さい子ほど気管支が細いため、ゼーゼーしやすいためです(特にRSウイルスに罹患した時など)。

乳幼児喘息の診断基準は
 「24時間以上つづく明らかなゼーゼー(呼気性喘鳴)を3回以上繰り返し、吸入したらゼーゼーが良くなったり、呼吸が楽になる場合は喘息とする」としています。

ほかに、
 ・両親のどちらかに医師に診断された気管支喘息がある。
 ・患児に、医師の診断によるアトピー性皮膚炎がある。
 ・患児に、血液検査にてハウスダストやダニへのアレルギー反応を認める。
 ・家族や患児に、血液検査でアレルギー体質がある(IgEという数値が高い)。
 ・痰に好酸球というアレルギーの細胞を認める。
 ・風邪をひいていない時でも、ゼーゼーする。
以上が、診断に有用な所見とされています。

ただ、気管支喘息は夜間と朝方がひどく、日中は軽快していることが多いので、診察の場面ではゼーゼーが聴こえなかったり、咳もひどくないといった場面が多いので、問診と経過、いままでの状態、家族の状態などを参考にしています。
インフルエンザA型が流行してきております。
院長ブログ
2023年01月14日(土)
インフルエンザウイルスA型が流行してきております。

ここ2年間全く流行がなかったインフルエンザウイルスA型が流行してきております。
新型コロナウイルスは大流行しておりましたが、現在はかなり減っており、当院ではインフルエンザA型と新型コロナの患者はほぼ同数くらいです。今後、このままコロナがどんどん減っていくのか、札幌でもオミクロン変異株XBBが検出されており、また増えてくるのかはわかりません…。

インフルエンザは一般的には、高熱、咽頭痛などで発症し、筋肉痛や関節痛、倦怠感などの全身症状が強いことが特徴です。その後咳、鼻汁などが出現し、潜伏期間は1-2日間とされております。発熱は3~5日間ほど認め、コロナと異なり、症状の個人差が少ないと考えられます。

診断は、一般的にインフルエンザ迅速抗原検査となります。しかし、発熱後6~12時間以上でないと感度が高くないです。つまり発熱してすぐに受診してもインフルエンザ検査が陰性でもインフルエンザは否定できません。

治療は発熱後48時間以内なら、ウイルス増殖を抑える薬剤が有効とされております。
しかし、全員に抗ウイルス薬が必須というわけではなく、投与しなくてもほとんどは自然に1週間ほどで軽快します。

合併症は、中耳炎、気管支炎、肺炎、脳症、細菌感染などが挙げられます。

発熱後すぐに来院ではなく、解熱剤等で一晩経過をみていただいてから、受診していただくのがよいと思います。
ヒトメタニューモ?
院長ブログ
2022年09月04日(日)
現在、新型コロナウイルス、手足口病・ヘルパンギーナ、RSウイルスとヒトメタニューモウイルス感染症が流行しております。

ヒトメタニューモウイルスはあまり聞いたことがないかもしれませんが、RSウイルスとほぼ同じ症状、経過をたどります。なので、検査をしない限りは診断するのは、困難です。

潜伏期間は4-6日間で、症状は、RSウイルス感染と同様に、発熱、鼻汁、および咳嗽です。
普通の風邪症状から始まり、発熱が長引く場合は、気管支炎や肺炎等になっている場合があります。乳幼児と高齢者の方は気管支炎や肺炎になる可能性があります。
気管支炎や肺炎等になっている場合は、検査をする必要がありますが、風邪症状で終わることも多く、その場合は、検査は不要かと思います(RSウイルスと同じ)。
検査は、6歳未満の方しか保険適応がありません。
また、出席停止等の規制もありません。

治療法は、抗ウイルス薬はなく、いわゆる対症療法となります。
 ただ、中耳炎などの細菌感染を合併している場合は抗生剤投与や、喘息発作が悪化することも多く、その場合は喘息発作の治療が必要になります。

感染経路が飛沫、接触感染なので、予防はマスク、手洗い、うがいとコロナ対策と一緒です。
マスク着用の考え方
院長ブログ
2022年06月02日(木)
厚生労働省からマスク着用の考え方が示されました。

① 2歳未満 マスク着用は推奨しない。

② 就学前の児童 マスク着用は距離にかかわらず、一律には求めない。

③ 成人、学童 マスク着用は、屋外で距離が保たれるなら、マスク着用は求めない。
        屋外で会話しないなら、距離が保たれくなくてもマスクしなくてよい。
        屋内では会話がしなくて、距離が保たれるならマスクしなくて良いと示されました。

リーフレートがわかりやすいのでご参照ください。03 リーフレット1(屋外・屋内のマスク着用について) (1).pdf04 リーフレット2(子どものマスク着用について) (2).pdf
ロタリックスとロタテックの違いについて
院長ブログ
2022年05月29日(日)
ロタウイルスワクチンには、1価ワクチンのロタリックスと5価ワクチンのロタテックがあります。

人に感染するロタウイルスは数十種類あり、ロタリックスは最も人に感染させるG1Pのみのワクチンですが、5価のロタテックとカバーする範囲は同じです。
また、2つのワクチンを直接比較した研究はありませんが、有効性や安全性には差がないとされています。

いずれのワクチンを選択したとしても、両方とも接種完了することが重要かと考えられます。

当院では両方のワクチンを扱っておりますので、ご希望を伝えてください。

初回の接種が生後14週6日を超えると接種ができなくなるので、生後2か月になったらワクチンデビューをすることをお勧めいたします。
ロタリックスとロタテックの違い.docx
ロタウイルスワクチンについて
院長ブログ
2022年05月28日(土)
ロタウイルスワクチンが2020年10月より定期接種化(国が接種勧奨、無料、原則接種)されました。内服するワクチンとなります。
ロタウイルスは小児において重度の脱水をきたす胃腸炎の主たる原因であり、ワクチン導入前の日本ではロタウイルス胃腸炎による入院患者数は年間約7~8万人と非常に多い状況でした。
ロタウイルスワクチンを接種することで、約90%は入院回避をすること=重症化を予防できることが明らかになっております。
ワクチンの副作用として主に初回接種の1週間以内に、腸重積症が10万例に2~3例起こる可能性が言われております。
 
 腸重積を疑う症状
 ・血便が出る
 ・ぐったりして元気がない
 ・機嫌良くなったり不機嫌になったりを繰り返す
 ・嘔吐を繰り返す
このような状態を認めた場合は、すぐにご相談ください。

また、初回接種が生後14週6日を超えると、腸重積症のリスクが上がるため、原則接種はできませんので、ご留意ください。
ですので、生後2か月になったら早めに、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンと一緒にロタウイルスワクチンを受けるようにしましょう。